「トラウマ」と聞くと、どんなイメージを持ちますか?
やりたくない事や、苦手なことの言い訳にしているに過ぎないという方もいらっしゃいます。
そもそもトラウマなんてものは存在しないという方もいらっしゃいます。
本当にそうでしょうか?
トリガーとなる出来事に遭遇すると、身体に強烈な反応が起こったり、感情が乱されたり
パニックが起こることもあります。
本人に、特にはっきりした記憶がなくてもです。
トラウマ反応は、「心の問題」ではなく神経システムによって起きている反応です。
トラウマとなる出来事に遭遇した時、わたしたちの神経システムは、
私たちを『生存させる』という目的のためだけに働き、生き延びさせます。
決して心が弱い人が陥る問題ではありません。
1995年に、神経学者のスティーブン・ポージェス博士が提唱した自律神経に関する新たな理論
「ポリヴェーガル理論(多重迷走神経理論)」では、これまでの「交感神経」=活動モード
「副交感神経」=休息モードという二つの神経システムではなく
(とてもザックリ説明しますね)副交感神経の一種である迷走神経の中には大きく二つのモードからなっています。
●腹側迷走神経複合体(リラックス)=人と安心して交流で着たり、一人でリラックスして過ごせる
●背側迷走神経複合体(シャットダウン)=凍り付いたり、逃避したり
このような神経ステムが、私たちを生き延びさせていると考えられます。
ただ・・・あまりにも大きな恐怖に直面したり、長く続くトラウマ的出来事から逃れられなかった場合
わたしたちを守るための神経システムが、私たちを苦しめるもとになってしまうこともあります。
もう今は終わった出来事なのに、「終わった」と認識してくれない場合があるのです。
そうすると、いつも不安です。
いつまた攻撃されるか分かりません。
神経を研ぎ澄ませて、いつも警戒していなくては危険だからです。
もし何かが「あの時」を連想させるようなことがあれば、時を超えて「今」それが起こっているかのような
そんな身体の反応が出てしまいます。
トラウマを生き延びた人たちは、自分が変なんだと思いがちです。
自分は頭がおかしくなっているんだと思うかもしれません。
なぜこんなことがやめられないんだろう。。
なぜ、いつもびくびくしたり、不安になったり、恐怖にとらわれたりしているんだろう・・・
それは、あなたが、大変大きな(または長く続く)トラウマを生き延びてきた証でもあります!
どうぞご自分を変だと責めたりしないでくださいね。
今はトラウマに対する理解も進み、ポリヴェーガル理論にもとづいてセッションをしている
心理セラピストやボディワーカー、ドクターもおられます。
まずは、この症状は確かに「トラウマ反応」なのだということを知ってほしいと思います。